本研究は、分子量の制御された高分子を合成するための高活性金属ポルフィリン錯体の分子設計を目的としている。 これまでの研究から、右図に示したアルミニウムポルフィリン錯体により様々なモノマ-がリビング的に重合し、分子量のそろったポリマ-が得られることがわかっている。また、ポリマ-の成長反応が、ポルフィリン錯体の中心金属上で起こることもわかっている。従って、ポルフィリン部分の構造が変われば、そこでの反応速度が大きく変わることが期待される。 そこで、本年度は以上の考えに基づき、右のアルミニウムテトラフェニルポルフィリン錯体に関して、フェニル基上のオルト、メタ、パラ位に塩素、メトキシ基、メチル基、フェニル基などの様々な置換基を導入した錯体を分子設計し、4員環エステルの重合反応における置換基の効果を検討したところ、4つのフェニル基の全てのオルト位が塩素、あるいはメトキシ基などの比較的嵩高い極性基で置換されたものが著しく高い重合活性を示した。同様の傾向は3員環エ-テルの重合反応でも観測された。 次年度は、この知見を基にピロ-ル部分が置換された新規なポルフィリン錯体を分子設計し、その重合活性を詳細に検討する予定である。
|