研究概要 |
本研究は高性能の光ー熱エネルギ-変換・蓄積機能を有する高分子の合成方法の確立と、得られたポリマ-の光ー熱変換性能の評価を目的としたものである。 2ークロロエチルビニルエ-テルとカリウムー3ーフェニルー2,5ーノルボルナジエンー2ーカルボキシラ-トとの反応により、機能性モノマ-:2ー(3ーフェニルー2,5ーノルボルナジエンー2ーカルボニルオキシ)エチルビニルエ-テル(PNVE)を合成した。カチオン重合触媒を用いて、PNVEの単独重合および他のビニルエ-テルとのカチオン共重合により側鎖にノレボルナジエン(NBD)残基を有するポリマ-を合成した。得られたポリマ-の光照射により、ポリマ-側鎖のNBD残基は容易にクワドリシクラン(QC)に変換されることが判明した。さらに光照射(311nm)により生成したポリマ-側鎖のQC残基は、コバルトポリフィリン錯体触媒との接触、加熱(80℃以上)または紫外線の照射(250nm)により再びNBD残基に変換されることが明らかとなった。また光照射により生成するQC残基は1モル当り約20Kcalの熱エネルギ-を蓄積することも明らかとなった。以上の結果から側鎖に3ーフェニルー2,5ーノルボルメジエンー2ーカルボキシレ-ト型のNBD残基を有するポリビニルエ-テルは優れた光熱交換機能を有することが確認された。さらに、光熱変換機能を有する高分子材料の簡便は合成方法の確立を目的として、ポリグリシジルメタクリラ-トおよびその共重合体側鎖のエポキシ基と3ーフェニルー2,5ーノルボルナジエンー2ーカルボン酸およびその他のNBD化合物との付加反応による側鎖にNBD残基を有するポリマ-の合成についても検討を行った。この結果、反応条件を選択するこてにより、容易にNBD残基を有するポリマ-が得られることが判明した。
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