研究概要 |
本研究は、懸濁気泡塔を用いて下部から水蒸気を気泡として導入することで,アルコキシドの加水分解反応を行ない微粒子を生成させる三相アルコキシド法を提案し、従来のアルコキシド法では不利であった連続化、スケ-ルアップの設計が容易で、水蒸気の供給条件を調節により粒径および粒子形状を制御することのできる新しいプロセスの開発を目的としている。本年度は、チタニウムテトライソプロポキシドの加水分解による二酸化チタンの合成法について、水の供給条件(供給方法、供給量、供給速度)を変えることで、反応に及ぼす影響、生成物の粒径、形状の変化を調べる実験を行い、以下のことが明らかになった。 1.反応初期から水蒸気を連続して供給し続ける実験で、加水分解反応と縮合反応が、遂次にあるいは並列に起こっていることが確認され、水蒸気の供給速度が高いほど、反応初期段階での加水分解の割合が大きくなることがわかった。その結果得られる沈澱生成物(二酸化チタンの一水和物)も水蒸気供給速度が高いほど収率が高くなることがわかった。 2.種粒子に水をアルコ-ル溶液(従来法)として、または、水蒸気(三相法)として追加供給することで、粒子成長に与える影響を調べた結果、アルコ-ル溶液で追加供給したときには、新たな核発生、粒子成長が起こり、生成物の粒径分布が広くなってしまうが、水蒸気として追加供給した場合は、新たな核発生は認められず、粒度分布が広がることなく一様に粒子を成長させることができた。これは、従来法では溶液内に局所的な水の高濃度な部分が生じ、三相法では装置全体に均一に供給できたためと考えられる。 3.水を水蒸気として追加供給する場合、その時点から新たな加水分解、縮合反応が起こることを確認した。また水蒸気の供給量が大きくなるにつれ、粒径、収率がともに大きくなることがわかった。
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