研究課題/領域番号 |
03650762
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
海野 肇 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (10087471)
|
研究分担者 |
本多 裕之 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (70209328)
|
キーワード | 水素細菌 / 炭酸ガス固定 / バイオリアクタ- / 爆発限界 / 酸素運搬体 / 独立栄養培養 / フルオロカ-ボン |
研究概要 |
高い炭酸ガス固定能力を持つ微生物の一つである水素酸化細菌を検討対象とし、1L容量のジャ-ファ-メンタ-を用いて培養特性の検討を行なった。水素・炭酸ガス・酸素よりなる混合基質ガスを連続通気する培養の結果、通常の条件下では、菌体濃度1g/L以上で酸素供給が増殖の律速因子となって直線増殖を示すこと、また、最終菌体濃度はガス組成によらず2.5g/L程度であることが明らかになった。 上記の結果から母、水素細菌の増殖速度を高めるためには酸素供給速度を高める必要があるが、水素と酸素の混合ガスはいわゆる爆鳴気のため、単純に酸素濃度を上げることは安全操作の点から好ましくない。そこで、基質ガス中の酸素濃度を3%以下の爆発限界外とするものの、酸素移動速度を格段に高めて増殖速度の低下を回避する方法として、培地中に酸素運搬体を添加する培養を試みた。酸素運搬体として、人工血液の材料として検討が進められているワルオロカ-ボン(パ-フルオロトリブチルアミン)を検討した。培養液体積に対する酸素運搬体の添加率を種々変えて検討をすすめているが、この酸素運搬体は水素細菌の増殖に対する阻害を示さないこと、酸素運搬体の添加率によって増殖速度に影響が観察され、特に添加率が80%を越えると、同一条件下の酸素運搬体を含まない培養に比べて10倍以上の増殖速度が得られ、明らかな酸素運搬体の効果が認められた。 この結果は、適切な酸素運搬体を用いることによって、爆発範囲を回避した安全な条件下で、高い増殖速度の水素細菌培養による炭酸ガス固定が可能なことを示している。さらに、種々の条件について検討をすすめ、最適操作条件を明らかにする必要がある。
|