研究概要 |
CO_2ガスの気相イオン分子反応による微粒子化について、本年度は次の2点について検討した。(1)加圧型コロナ放電イオナイザ-を用いたモデル排ガスの超微粒子への転換条件の検討、および(2)イオン分子反応により生成したクラスタ-イオンの蒸気による凝縮成長の評価について行った。 (1)については、前年度までの研究によりイオナイザ-で微粒子化した粒子の大部分が0.01Mm以下の超微粒子あるいはクラスタ-であることが明らかになっていることから、分担者の奥山が開発した最小検出粒径が2nmの超高感度凝縮核カウンタ-を用いて実験した。イオン発生器のイオン濃度、CO_2ガス濃度、H_2O分子量(湿度)を種々に変えたときの超微粒子の濃度を測定することで、核生成におよぼすイオン濃度、CO_2ガス濃度、湿度の影響を調べた。その結果、超微粒子の発生は、イオン濃度に影響されず、CO_2濃度および湿度が増えるにしたがい増加した。特に、超微粒子の発生濃度は湿度により大きく変動した。 (2)については、 ^<241>Amのα線源をイオン源としたイオン発生器を用いた。種々の濃度のCO_2および水分子を含むN_2ガスをイオン化して発生したクラスタ-イオンをdibutylphthalate(DBP)蒸気の種々の飽和雰囲気に導入し、発生するDBP微粒子の濃度を光散乱式粒子カウンタ-で、粒度分布を静電粒径測定法で測定することで、クラスタ-イオンが成長する条件を調べた。その結果、DBP粒子はある飽和度(臨界飽和度)を境に突然発生し、その臨界値はCO_2およびH_2O量に反比例して減少し,また微粒子の粒径はすべて0.3Mm以上であった。さらに、得られた臨界飽和度は、従来の有核凝縮理論の値より2〜4オ-ダ-も低く、イオンのもつ静電ポテンシャルがクラスタ-の成長を促進(イオン核生成という)したと考えられる。
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