研究概要 |
スクリ-ニングによって得られたジベンゾチオフェン脱硫菌SY1株について同定を行った。その結果、細胞の形態は桿菌で、グラム染色は陽性,カタラ-ゼテスト陽性、オキシダ-ゼ陽性、OFテスト陰性で運動性は認められなかった。以上の結果から本菌SY1株はCorynebacterium属の細菌と同定された。本菌は唯一イオウ源としてジベンゾチオフェン(DBT)を利用するのみならず、ベンゾチオフェン,チオフェンー2ーカルボン酸,ジメチルサルファイド、元素イオウなども利用した。ジベンゾチオフェンを唯一のイオウ源としてSY1株を培養し、脱硫過程における酸化中間体の検出を試みた。培養液の粗抽出物をTLCで展開を行ったところ、少なくとも5種類の芳香族化合物の存在が確認された。それらをGCーMS,UV,HーNMRなどを用いて分析を行った。その結果、ジベンゾチオフェンからの酸化生成物としてジベンゾチオフェンー5ーオキサイド、DBTスルフォン、2ーハイドロキシビフェニルが同定された。これらのことに基きDBTの代謝経路として、DBT→DBTオキサイド→DBTスルフォン→ビフェニルスルフォン酸→2ーハイドロキシビフェニルの経路が想定された。SY1株はDBTの代謝中間体としてビフェニルスルフォン酸を経由すると想定されたので、構造が類似し、商品が得られるpートルエンスルフォン酸を用いて脱スルフォンの検討を行い、pークレゾ-ルの生成を認めた。次に、DBTスルフォンを用いて粗酵素反応を行い、反応生成物の検討をした。フレンチプレスで破砕した菌の上清にDBTスルフォンを粉末で添加し、30℃でインキュベ-トした。反応生成物をUV吸収の変化で検索したが明確な反応生成物は確認されなかった。そこで,目下、DBTスルフォンの加水分解に関する遺伝子の取得を目的としてクロ-ニング実験を行っている。
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