平成4年度には平成3年度にほぼ完成したオンライン誘電測定システムをより実際の醸造発酵に近い系で試験を行い、その問題点を検討した。また、測定誤差の原因となる電極分極を除くため4電極法の使用の検討、さらに、高周波側での測定データーから細胞内部の導電率やオルガネラの情報を得る方法を検討した。結果を次に箇条書きに示す。 1.酒類の醸造発酵に近い条件で培養を行い発酵過程を誘電モニターしたところ、この系においても誘電測定法が細胞量のモニターに使えることが明らかになった。ただし、ここでは発酵で生ずる気泡が電極面を被い、測定を妨害することが問題となった。この気泡の影響を除くためは次の二つの方法を検討中である。(1)電極の表面を処理することによって電極での気泡発生をおさえる。(2)測定毎に機械的に電極部分の気泡を取り除く工夫をする。 2.四電極法については、現在、アンプの設計を済ませた段階である。実際の発酵系への応用はあと1-2年要すると思われる。 3.オフ・ラインで誘電測定して得た高周波側のデーター解析から、植物細胞や酵母の細胞内部にある液胞の情報を得ることことを試みた。細胞の電気的モデルの検討と理論解析ソフトの開発を行った結果、液胞の構造や電気的性質を高周波のデーターから求めることが可能であることがわかった。細胞内部構造のオンライン・モニターについては現在検討中である。
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