微生物の動きを顕微鏡下で連続観察し、その行動を詳細に解析するための動画像処理システムを開発した。システムの構成は、倒立位相差顕微鏡、CCDカメラ、VTR、イメ-ジプロセッサ-、パソコンおよび各種出力装置からなる。 このシステムにより、細菌の刺激応答を秒単位で計測することが可能になった。また、計測12要する時間も約1分で十分であり期待した迅速性を実現することができた。迅速な計測が可能となったことには、次のような意義がある。まず、多数の計測を短時間に終了することができ、行動変異株の分離や特性の確認に極めて都合がよい。また、短時間に計測できるので、細胞により代謝されたり、取りこまれたりされやすい物質に対する正確な計測ができる。緑膿菌などの絶対好元性菌の場合、溶存酸素濃度の低下などの影響を受ける前に計測が終了できる利点もある。 緑膿菌と大腸菌を用いた予備的な刺激応答の計測結果から、緑膿菌は大腸菌が嫌うロイミンなどの疎水性アミノ酸にも集積することが解った。緑膿菌のアミノ酸応答をさらに詳しく調べたところ、緑膿菌には少なくとも2種類のアミノ酸センサ-が存在することがわかった。現在このセンサ-タンパク質をコ-ドする遺伝子のクロ-ニングをすすめているところである。
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