研究概要 |
多収性に関与する要因としては多くの形質が指摘されており、多収性品種の備えるべき生理生態形態的特性としては、多くの組み合わせが存在していることが考えられる.そこで本研究では、東北地方の主要な品種および多収性を目指して育成途上の系統の中からいくつかを選らび、各品種・系統の生育特性および収量性を調査した。さらに、種々の生育段階における個葉光合速度とそれらの全N含量を測定し、生育のすすみに伴う個葉光合成度の推移の相違を比較検討した。 供試品種にフジミノリ(1),はなの舞(2),アキヒカリ(3),奥羽339(4),たかねみのり(5),キヨニシキ(6)あきたこまち(7),山形22号(8),奥羽316(9),奥羽331(10)と東北143(11)の11品種系統を用ちい、風場に慣行に従って裁培した。その結果、7月中〜下旬の低温に伴う障害不稔の発生が著じるしい品種((1)と(3))を除き、(5)の520〜(9)の735kg/kgまで品種によって収量にかなりの相違が認められた。 次に、出穂日のほぼ同じ9種品((1)〜(4)と(6)〜(10))を1/2,000dポットに裁培し、登熟初期、中期および後期に各品種の止葉の光合成速度を測定し、さらに、その全N含量を定量した。なお、登熟初期の測定後に2段階の追肥区を設けた。その結果、いずれの品種においても生育の進みに伴い光合成連度および全N含量は低下し、特に前者の低下が顕著であった。しかし,無追肥区に比べ追肥量の増加に伴い両者の低下程度は小さかった。また、いずれの生育時期・N区においても、各品種の光合成速度には、7〜12mgco^2/dm^2/hr程度の品種間差異がみられた。しかし葉身の全N含量と光合成速度との間には有意な正の相関関係が認められ、光合成速度の品種間差異は、全N含量の相違に基づいていることが判った。しかしながら、登熟後期においては、同一Nレベルであっても光合成速度にはかなりの相違のあることが認められ、(3),(9)および(10)は他の品種に比べ高い傾向のあることが推察された。
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