研究概要 |
本年度は特に有機質肥料による追肥が生育収量に及ぼす影響を検討した.品種日本晴を用いて圃場栽培を行い,処理区は基肥要因,追肥要因,農薬要因を組み合わせ,対照区として慣行栽培に準じた化学肥料・農薬の区を設け,計16区とした.収量は減農薬・無追肥系列区,無農薬・慣行油粕追肥系列区が著しく低くなった.虫害は無農薬・慣行油鉾粕肥系列区のみに発生したが,登熟歩合への影響は少なかった.無農薬・慣行油粕追肥系列区では分げつ数,有効茎歩合が低いため穂数,総籾数が減少し,低収となった.減農薬・無追肥系列区では分げつ数は確保したものの有効茎歩合,1穂粒数の低下が著しく結果として総籾数が低下し,減収した.ただし登熟歩合は高かった.減農薬・中期追肥系列区と減農薬・慣行化肥追肥系列区の収量は化学肥料のみの対照区に匹敵するものであった.減農薬・中期追肥系列区では有効茎歩合が高く,油粕追肥の場合には1穂粒数が多く,もみわら比も高かった.化学肥料追肥の場合には穂数が高い値を示した.いずれの場合も減農薬・慣行化肥追肥系列区よりも総籾数が多く,登熟歩合は低かった.中期追肥系列区は期待された1穂粒数の増加はほとんど認められず,むしろ有効茎歩合を高める効果が強く現れた.減農薬・慣行化肥追肥系列区では有効茎歩合が低く穂数,総籾数は少ないが登熟歩合は高かった. 昨年度の実験結果でも有機質肥料を中心に化学肥料を補完的に施用した区が化学肥料のみの対照区に近い収量となったが,本実験では有機質肥料のみでも化学肥料単用区に匹適するほどの収量となった.今後は減農薬の慣行的な油粕追肥における生育収量についても検討する必要がある.また本年度並行して実施した除草時期と生育収量とに関する実験の結果についても分析を進める.
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