出穂期がほぼ等しい生態型および草型を異にする水稲中生品種(合計5品種)を供試して、葉齢4.5前後の苗を約1/1000aポットに1株1本植で4株移植した.そして。無処理区と一次分げつをそれぞれ第5、8、11節まで除去する区(分1、分2、分3区)を設けて、分げつ確保節位が節位別・次位別分げつ穂重および株当りの生育と収量関連形質に及ぼす影響を調べた.【結果】1.無処理区の初発分げつは第2あるいは第3節1次分げつであり、分1、2、3区の初発分げつ日はそれぞれ無処理区の分げつ初期、分げつ盛期、分げつ終期〜最高分げつ期に相当した。2.主稈の節位別分げつ穂重は、各品種とも処理に関わりなく主として穂数の差により下位節ほど優ったが、各処理区では無処理区にくらべて株当り穂重に占める最下位節穂重の割合が高くなり、それより2節以上の節位の割合が低下した.また、同一節位の分げつ穂重は分げつ除去期間が長いほど優った.主稈の節位別の次位別分げつの平均1穂重は高次分げつほど劣り、また節位の上昇に伴う低下程度が大きかった.そして、同一節位の各次位別分げつの平均1穂重は分げつ除去期間が長いほど優る傾向がみられた.3.各品種とも分げつ除去期間が長くなるに伴って株当りの最高分げつ数、穂数は減少し、平均1穂重は増加する傾向がみられた.しかし、この株当り平均1穂重の増加程度には著しい品種間差異がみられ、分げつ能力に優れる穂数型品種での増加が大きかった.その結果、穂数型品種の株当りの穂重は分げつ除去期間に関わりなく無処理区にくらべて大きく減少せず、いく分増収する場合がみられたが、穂重型品種では1穂重の増加が小さく、除去期間が長くなるに従って減収する傾向がみられた.とくに、この移植後の分げつ除去に伴う増収効果は、分げつ出現から出穂期まで日数の多少と密接に関係しており、日数が多く確保される早植栽培で大きく認められた.
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