研究概要 |
1.オオナルコユリ、アマドコロ、ギボウシ類の種子休眠及び休眠打破条件を検討した。オオナルコユリとアマドコロの種子は発芽に際して2段階の休眠を示し、最初の休眠の打破のためには9℃以下の低温経過が必要で、十分な休眠打破のためには5℃の場合は2ヵ月間以上の処理が必要であった。休眠打破後発芽したが(発芽適温は20℃)、その芽は地上に葉を出すことなく、地下発芽種子は小根茎を形成して、芽は第2の休眠に入った。この休眠打破のためには再度低温経過が必要で、5℃3ヵ月間以上の低温処理が必要であった。しかし、この第2の休眠は低温処理だけでは十分に打破されず、低温処理後に30℃1ヵ月間の高温処理を与えることがその後の出葉促進のために必要であった。一方、ギボウシ類の種子には休眠は見られず、完熟種子は20℃下で速やかに発芽した。 2.アマドコロの種子発芽から成株にいたるまでの根茎の発達の様相と株分け増殖法について検討した。実生2年目までは次年にシュ-トとして発達する芽を1つしか形成しなかったが、実生3年目には根茎がシュ-トの基部で2又ないし3又分として水平方向に伸長肥大し、次年にその先端の芽がシュ-トとして発達した。以後、毎年新根茎がシュ-トの基部から2又ないしは3又で分枝成長した。根茎を分割して種苗として利用する場合、シュ-トの成長は植え付けた根茎が大きいほど良好で、根茎の芽の数の影響は比較的小さかった。このことから2芽以上を付けた比較的大きめの根茎を種苗として利用するのが産生上有利と思われた。 3.ギボウシ類の催芽種子の2,4ーD1〜10μM添加のAZ寒天培地で容易にカルスを形成した。最もカルス形成が良好であったのは2,4ーD 10μM+BA 0.01μM添加培地であった。このカルスは2,4ーD 1μM添加のMS培地に継代すると容易にシュ-トと根を再生した。
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