温室メロンのロックウール(RW)栽培における培養液施用(かん液)量を的確に決定する方法は確立されていない。蒸散速度が水蒸気密度差、拡散抵抗、葉面積の関数(蒸散モデル)として表される事に注目すると、このモデルをかん液制御に利用することが可能である。本研究では、RW栽培した温室メロンを用いて、実験1でモデル式の拡散抵抗値式を決定し、実験2でモデル式によるかん液制御の実験栽培への利用を検討した。 [実験1]栽培中のメロンの地際部に茎流センサーを設置し、11月22〜24日に蒸散速度を測定し、蒸散式に当てはめて拡散抵抗値を逆算した。その結果、拡散抵抗=780-0.371日射強度の回帰式を得た。[実験2]求めた拡散抵抗値を用いたモデル式により、12月6日〜9日までかん液実験を行った。午後のモデル計算値と茎流センサー測定値は一致したが、午前中は両者に約30分のタイムラグがみられた。これは、午前中の拡散抵抗値が上昇しにくいためと考えられた。また、夜間のモデル式による蒸散速度は茎流センサー測定値の約半分の値を示した。排液法による蒸散量とモデル推定蒸散量は、ほぼ合致していたが、日射強度が小さい場合には、蒸散量が少ないために誤差の割合が大きくなった。 以上の結果、本実験で用いた蒸散モデル式は、温室メロンのRW栽培のかん液制御において十分利用可能であることが明らかとなった。今後、拡散抵抗値の日変化を考慮に入れたモデル式を検討することにより、さらに精度よくかん液を行うことができると思われる。
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