研究概要 |
低根温(14℃)および高根温(23℃)で生育したクロダネカボチャとキュウリの根のタンパク質の含有率と組成を比較して、クロダネカボチャの根の低温耐性の機作をタンパク質代謝の面から明らかにしようとした。 1.酵素タンパク質を主とする可溶性タンパク質含有率は、クロダネカボチャ、キュウリの根ともに、低温遭遇によって次第に増大したが、その程度はクロダネカボチャで明らかに大きかった。一方、膜タンパク質を主とする難溶性タンパク質含有率は、低根温で生育したクロダネカボチャの根では可溶性タンパク質と同様に低根温遭遇日数とともに直線的に増大したのに対して、キュウリの根ではほとんど増大しなかった。 2.根温14℃で6日間生育したクロダネカボチャを根温23℃に移してデハ-ドニング処理したところ、2日後には可溶性・難溶性の両タンパク質ともに、根温23℃で生育した根の含有率にまで低下した。 3.SDSーPAGEによって根の可溶性タンパク質の組成を調べたところ、クロダネカボチャの根では少なくとも7本のタンパク質バンドが低温遭遇によって強く染色され、そのうち、1400KDと50KDのタンパク質は高温区の根では存在しなかった。これらの変化は低温遭遇6日目に顕著にみられた。デハ-ドニング処理によって7本のバンドのうちの3本(1400,67,50KD)が顕著に弱くなった。これらのバンドがクロダネカボチャの根の低温耐性に何等かの関係を持つ可能性がある。なお、オファ-レルの二次元電気泳動においても類似の結果が得られた。これに対して、キュウリの根においてはタンパク質組成は顕著には変化しなかった。 4.次年度には、異なる根温で生育したクロダネカボチャのmRNAによるin vitroでの翻訳反応に生成物を調べることによって、低温遭遇によってクロダネカボチャの根で発現する遺伝子の性質を解明したい。
|