エンバク冠さび病抵抗性遺伝子Pc-2は冠さび病抵抗性であるばかりでなく、宿主特異的毒素ビクトリンに感受性を示す。また、ビクトリンはファイトアレキシン・アベナルミンを生成誘導する特異的エリシターとして作用する。本研究はビクトリンによるアベナルミン生成を伴うPc-2遺伝子の発現制御機構を分子生物的技術を用いて解明するものである。 昨年度は作成したゲノミックDNAとビクトリン処理時に誘導されるPoly-A・m・RNAとのハイブリダイゼーションをしたが、特異的RNAを検出できなかったので、本年度に入り、抵抗性遺伝子発現時のPoly-AmRNAを調製後C-DNAを作成した。C-DNAに対してmRNAのdifferential screeningを行い複数のスポットを確認した。一方、ダイズおよびイネのPAL-CDNAとのハイブリダイゼーションを行い、オートのPALと思われるスポットを得た。現在これらmRNAの抵抗性発現との関係について明らかにするTime courseの研究を行っている。従って、抵抗性特異的な活性化遺伝子と思われるスポットを得たが、クローニングまで至らなかった。 引き続い研究していたので必ずや成果を出せるものと思っている。また、現在、オオムギおよびイネのキチナーゼCDNAを農林水産省より得たのでこれら遺伝子とハイブリダイゼーションからキチナーゼ遺伝子のクローニングも試みている。すでに、キチナーゼ活性の抵抗性発現に伴う増高を認めており、電気泳動ゲル上での活性バイドも確認しており、蛋白の単離も可能な条件が整っている。キチナーゼ活性増高については、平成5年度日本植物病規学会大会において発表予定である。
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