研究概要 |
本研究担当者らは偏性寄生性微胞子虫である Nosema bombycis(Microsporidia: Nosematidae)が昆虫培養細胞内のみならず、家蚕幼虫体内でもこれまで知られていなかった2種類の胞子を形成することを確認し、Nosema属微胞子虫が胞子二型性を採用する可能性を示唆した。そこで今 回は,Nosema bombycis以外の他のNosema属微胞子虫を用いて二型の胞子を形成するか否かについて調べた。 その結果、スジキリヨトウ由来の供試微胞子虫Nosema sp.Sd-NU-IW8701株は昆虫培養細胞内 において、Nosema bombycisと同様に二型の胞子を形成することを認めた。光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡観察から得られた別型胞子の形態はNosema bombycisと際立った相違はみられなかった。また接種からの出現時期ならびに形成後の自発的な孵化もNosema bombycisの場合とほぼ一致していた。したがって、胞子の二型性はNosema属微胞子虫が有する特徴の一つとして認識できるものと判断した。現在、上記の結果をもとに投稿論文を作成準備中である。しかし、本年度は2種類の胞子形成の確認はできたものの、シゾント(栄養生殖期)から胞子形成にいたる形態変化の追跡は充分ではなく、今後の検討課題の一つとして、次年度に継続調査を行なう予定である。
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