研究課題
Nosema bombycisに於いて見だされた二型の胞子-早期に形成され、殻は薄く、極糸の巻き数が少なく、自発的に孵化するものと、後期に出現し、極糸の巻き数は多く、被殻が厚く、孵化させるため活性化を必要とする胞子-は、調査した二種のNasema属微胞子虫のいずれにも見だされた。それらの一つは、スジキリヨトウ、Spodoptera depravataより分離され、胞子の形状がNosema bombycis胞子と異なる抗Nosema bombycis胞子単クローン抗体感作ラテックス粒子とも反応しない、カイコ幼虫に経口感染しないNisema sp.である(詳細は、日本応用動物昆虫学会誌に搭載の予定)。他の一つは、N.furnacalis-宿主昆虫はアワヨトウ、Qstrinia furnacalis)である。この微胞子虫では、極糸の巻き数の少ない胞子の分離にも成功し、この胞子を培養細胞に接種したところ、極めて高い感染がひきおこされた。その成果は取りまとめ中である。微胞子虫のこの胞子二型の存在は、米国の研究者により追認された-Solter,L.F.et al.XXIVth Annual Meeting,Soiety of InvertebratePathology,Ashville,NC(1993)。以上のことから、本報告者により発見され、この補助金により進められた微胞子虫の胞子の二型性は、Nosema属に普遍的であることが明らかになった。さらに本補助金により今年度取得した顕微分光位相差装置を用いて、Vairimorpha sp.(カイコ蛾由来の一微胞子虫)を調べ、胞子の孵化条件を明らかにし、培養細胞(Antheraea eucalypti 卵巣由来)に接種することができた。
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