ヒドロキシケイ酸アルミニウム(HAS)イオンとバーミキュライト、スメクタイトを反応させてHAS-粘土複合体を形成した。HAS-粘土複合体の形成条件として、NaOH/Al分子比を1.0、2.0、2.5に、またSi/Al原子比を0.5と1.0に調整した。これらの試料を用いて、リン酸およびカリウムイオンに対する反応性について研究した。得られた結果は次の通りである。 スメクタイト、バーミキュライトによるリン酸吸着量は小さいが、HAS-粘土複合体、ヒドロキシアルミニウム(HA)イオン-粘土複合体を形成することにより、リン酸吸着量が著しく増加した。リン酸の濃度が50mM以下では、吸着等温線は2項ラングミュア式に当てはまり、親和性の異なる2つの吸着サイトが存在した。 またカリウムイオンはバーミキュライトに著しく強く固定されるが、HASイオン、HAイオンとの複合体形成によって、カリウムの固定量が減少した。しかし、スメクタイトでは固定は起らなかった。 以上の結果より、膨張格子型粘土のスメクタイト、バーミキュライトはHAS、HAイオンと複合体を形成することにより、その表面荷電特性を著しく変化させ、酸的特性、リン酸およびカリウムの固定能、養分保持能、スメクタイトの膨潤性などに影響することが明らかになった。
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