研究概要 |
ヒドロキシケイ酸アルミニウム(HAS)イオンはヒドロキシアルミニウム(HA)イオンとオルトケイ酸より容易に形成され、土壌粘土のモンモリロナイト(Mt)、バーミキュライト(Vt)と複合体を形成する。これら複合体について、荷電特性、表面特性、酸的特性、配位子に対する反応性について研究した。得られた結果は次のように要約される。 1.HA,HASイオンは膨張格子型粘土の層間に強く吸着、固定される。 2.pH4〜8の領域でこれら複合体の陽イオン交換容量、陰イオン交換容量と平衡pHの関係について研究した。複合体の形成により陽イオン交換容量は酸性側で著しく減少した。HA-MtおよびHAS-Mt複合体では、酸性側で陰イオン交換容量が認められた。これらの結果は、複合体形成によって、粘土の荷電特性が著しく変化することを示唆している。 3.複合体形成は、粘土の比表面積を変化させた。すなわち、総表面積および内表面積の減少、外表面積の増加をもたらした。 4.複合体形成は、粘土の酸的特性を変化させた。すなわち、強酸的特性を低下させ、弱酸性的に変化させた。 5.複合体形成により、リン酸や腐枯酸、フルボ酸に対する反応性が著しく増加することが明らかになった。しかし、カリウム固定能は著しく低下した。 以上の結果は黒ボク土壌における腐植の集積、リン酸固定、荷電特性、酸的特性、種々配位子に対する吸着特性を解明する上で重要な知見を提供している。
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