研究課題/領域番号 |
03660069
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 英明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80026418)
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研究分担者 |
葛西 身延 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (10221871)
山本 洋子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)
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キーワード | 酸性障害 / Alストレス / 耐性分子機構 / 植物細胞 |
研究概要 |
植物の酸性障害はpHの低下にともない土壌中で溶解するアルミニウム(Al)によると考えられ、作物の土壌障害の主要な原因の一つに数えられている。そこで、Al耐性機構を明らかにするため本年度はタバコ培養細胞を用い、耐性発現の誘導を試みた。即ち、培養細胞に2〜3日間のリン酸欠除処理を加えることにより、少なくとも一過性のAl耐性が獲得された。このAl耐性の発現は、タンパク合成阻害剤によって抑制された。またリン酸欠除処理をする時に、それ自体培養細胞の増殖を阻害しないような低濃度のAlが存在すると、耐性発現が認められなくなった。リン酸欠除処理をした細胞のAlのとり込みは著しく減少していたが、その分布をみると、リン酸欠除をしていない細胞ではAlが核に多く集積しているのが確認された。さらに、リン酸欠乏細胞はとり込んだAlを急速に排出する機構が高まっていることが確認された。リン酸欠除によるA領耐性の獲得に関わる特異的なタンパク合成について ^<35>Sメチオニンのとり込みから検討した。その結果、リン酸欠除己理により特異的に合成され、Alストレスによって制御を受けるタンパク質の存在を認めた。また培養細胞のAl耐性は、リン酸欠除のみでなく鉄の有無によっても誘導されることを明らかにした。一方、植物細胞のAlストレスに対する生存の機構として膜レベルでの応答反応をあげることが出来る。すなわち、Al処理をしたオオムギ根の細胞では、液胞膜のATPおよびPPi依存のH^+ポンプ活性が増大することを見い出した。この増大には膜の脱分極がかかわっている可能性を示唆した。また、これら活性の増加は細胞質のH^+を液胞へ輸送することにより、Alの毒性発現に深くかかわっている細胞質のpHの低下を抑えたり、Alとの交換反応により有害なAlを液胞内へ隔離する役割を果たしているものと推察された。
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