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1992 年度 実績報告書

植物の酸性障害およびその耐性の分子機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 03660069
研究機関岡山大学

研究代表者

松本 英明  岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80026418)

研究分担者 葛西 身延  岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (10221871)
山本 洋子  岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)
キーワード高等植物 / 酸ストレス / アルミニウムストレス / 障害 / 耐性 / 分子機構 / 膜 / 遺伝子
研究概要

昨年度,アルミニウム(Al)ストレスに対する応答反応としてオオムギ根液胞膜のH^+ポンプ活性の増加をみつけたが,その機構について詳細に検討した。即ちあらかじめ負荷したK^+の存否に強く影響を受けAlストレスにより負荷したK^+が排出され,それに連動して液胞膜のATP及びPPi依存のH^+ポンプ活性が誘導された。またAlストレスを加える時,Ca^<2+>が存在するとK^+の排出とH^+ポンプ活性の誘導も抑制された。これらの結果はAlストレスにより原形質膜H^+ポンプが阻害され,その結果,細胞質のpHが変動することと,原形質膜の膜電位の脱分極が起るが,それを修膜恒常性の維持)するためH^+を液胞へ輸送する必要があり,この現象はAlストレスに対する生理的耐機構の一つであると考えられた。次にこの誘導過程での細胞内変化の一つとしてストレスホルモンとして知られるABALアブサイシン酸)を定量した。その結果,50μMのAl処理で約2倍にABA含量が増加しかつ原形質膜のH^+ポンプの阻害剤であるバナジン酸により4.5倍にも増加していた。次にABAの増加と液胞膜のH^+ポンプの誘導について調べた結果,50μM Al処理でポンプ活性は約1.5倍に増えた。同時にABAとバナジン酸でもATP-,PPi依存H^+ポンプ活性は約1.5倍に増加した。これらの結果からAlストレスによってABAが増え,その結果液胞膜H^+ポンプの活性が誘導されることが分った。一方,培養細胞を用いた実験でリン酸欠乏処理により一過性のAl耐性を誘導することを昨年,明らかにしたがその過程で発現する分泌性のタンパク質について調べた。その結果リン酸欠乏処理で発現される分泌性の数種のタンパク質がみつかったが,それらの中にはAlストレスが加えると短時間で数倍にも発現が増加するものもあり,現在これらのタンパク質をAl耐性機構との関連から更に検討中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Matsumoto,H.: "Changes of some properties of the plasma membrane-enriched fraction of barley roots related to aluminum stress:Membran -associated ATpase,aluminum and calcium" Soil Sa. plant Nutr.38. 411-419 (1992)

  • [文献書誌] Kasai,M: "Aluminum stress increases K^+ efflux and actiuities of ATP- and PPi-dependent H^+ pumps of tonoplast-enriched membrane vesicles from barley roots" Plant Cell physiol.33. 1035-1039 (1992)

  • [文献書誌] Kasai,M: "In rivo treatments to modulate ppi-dependent H^+ transport activity of tonoplast-enriched membrane vesicles from barley roots" Plant Cell Physiol.

  • [文献書誌] Yamamoto,Y: "Growth in hibition by alumirum is alleviated by phosphate starration in cultured tobacco cells “Plant Cell Walls as Biopolymers with Physiological Functions"" Yamada Science Foundation, 3 (1992)

  • [文献書誌] Sasaki,M: "Root elongation and ion flux of wheat varieties in aluminum tolerance “Plant Cell Walls as Biopolymers with Physiological Functions"" Yamada Science Foundation, 3 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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