研究概要 |
ニワトリアロマタ-ゼ遺伝子上流域の塩基配列の決定を行なった。翻訳開始点のATGより上流約2500bpまでの間にエステラジオ-ルリセプタ-の結合部位,CRE(cyclic AMP responsive element),APーI binding site等のモチ-フが存在していた。一方成熟雌ニワトリの卵巣より顆粒膜細胞の初代培養細胞を分離することができた。アロマタ-ゼ遺伝子上流域をCAT(chloramphenicol acetyltransferase)遺伝子と連結した組替えplasmid DNAを作製したこれをこの細胞に導入して各シスエレメントの働きを明らかにしていく予定である。次に、性ステロイドホルモン合成を触媒する重要な酵素の一つである△^5ー3βーヒドロキシステロイドデヒドロゲナ-ゼ(3βーHSD)と思われる。cDNAの断片のクロ-ニングに成功した。これは、ヒト、ウシ、マウス、ラット等からクロ-ニングされたいるcDNAの配列をもとに合成したプライマ-によりニワトリ副腎由来のcDNAからPCR法で得たもので、この塩基配列から予想されるアミノ酸配列はヒト、ウシ、マウス、ラットの3βーHSDと非常に高い相同性を保持していた。さらにこれをプロ-ブにして副腎由来のOkayamaーBerg cDNAライブラリ-よりいくつかのクロ-ンの取得に成功した。現在これらのクロ-ンの塩基配列の決定を行っている。また性ステロイドホルモン合成を触媒する重要な酸素の一つであるニワトリチトクロ-ムPー450c17は既に当研究室の小野らによりクロ-ニングされていたが、これを培養動物細胞に導入した際の活性は極めて弱かった。このため合成DNAプライマ-によりPCR法で新たなチトクロ-ムPー450c17 cDNAをクロ-ニングし細胞に導入したところ、著しい酵素活性の上昇がみられた。このクロ-ンの塩基配列を決定したところ、数カ所でアミノ酸の置換を伴う塩基の置換が検出された。現在この変異と活性の関係、及びニワトリ個体に於けるこれらの遺伝子の発現についての解析を行っている。
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