本研究はてんかん症の原因遺伝子を把え、その異常発現桟構を明らかにすることを目的とする。そのためてんかんモデル動物として知られるElマウスを用して研究を進めている。昨年までに本マウス脳では神経毒であるキノリン酸合成酵素の活性が対照のddYマウスに比べて異常に高いことを見出した。この結果から当モデルマウスのてんかん症の原因は本酵素遺伝子の発現が異常に高いためではないかと考えられる。そこで本酵素遺伝子を精製し、その異常発現桟構を明らかにしたいと考えた。 そこで本酵素を多量に含むラット肝より精製した。(それ以前本ラット肝酵素がElマウス脳のそれと酵素化学的に同一であることを確めてある)精製の結果本酵素か分子量35Kdのモノマーであることを明らかにした。次に本酵素蛋白質をV_8プロテアーゼにより分解し、得られた3つの断片についてエドマン分解法によりアミノ酸配列を決定した。次いでそれに基ずいてDNA塩基配列を推定し、それを合成した。合成スクレオチドをプローブとして、ラット肝c-DNAライブラリーより、現在本酵素遺伝子c-DNAをクローニング中である。 今後はその塩基配列を解析する一方、それをプローブとして用い、本酵素のジエノミクDNAをクローニングする予定である。そしてその構造、ことに遺伝子発現調節による構造を検討し、Elマウス脳で本酵素遺伝子の発現がなぜ高いのかを解析したい。
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