研究概要 |
1.イネ亜硝酸レダクタ-ゼ(NiR)cDNAライブラリ-の作成。硝酸(NO^-_3)によって誘導したイネ緑化幼植物の葉と根の両組織からmRNAを単離し、合成後、λgt11を発現ベクタ-として、両者のcDNAライブラリ-を作成した。その大きさは、それぞれ6×10^6と8×10^6pfuであり、80ー90%の組換へ効率を示す良質のライブラリ-であった。 2.スクリ-ニングとグロ-ニング。既に取得しているイネNiR cDNA(0.5kb)をプロ-ブとして、両ライブラリ-のスクリ-ニング行い、5×10^4個ファジ-当たり、葉では67個、根では54個の陽性プラ-クの存在を確認した。この中から全長NiR cDNA(2.2kb)を持つクロ-ンを取得した。 3.塩基配列の決定.全長NiR cDNAの塩基配列を決定した結果、葉と根にそれぞれ2種類のNiR cDNAが存在することが判明した。 即ち活性酵素蛋白質に対する塩基配列をもつcDNAが存在する事が判明した。即ち活性酵素蛋白質に対応する塩基配列をもつcDNAと93bpの挿入配列をもつcDNAが存在する。 4.イネNiR cDNA塩基配列の特徴,非挿入型cDNAは956個のアミノ酸をコ-ドするクロ-ンであった。このクロ-ンにはポリAシグナルと考えられるAATAAの配列が存在する。しかしポリA配列は見出せなかった。挿入配列をもつcDNAは、93bpの挿入配列を除けば、非挿入型クロ-ンの塩基配列と同一であった。この挿入部分はホウレンソウNiR遺伝子に存在する第3番目のイントロンと同一の長さ(93bp)であった。挿入型cDNAはイントロンの不完全な切り出しに帰因するのか、或は生理的に意味のあるクロ-ンであるか否か不明である。この点についてNiR遺伝子の構造解析によって解明する予定である。
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