研究概要 |
我々はBacillus circulans WLー12のキチン分解酵素系をモデルとして,細菌のキチナ-ゼを研究している。本菌のキチン分解酵素系は、少なくとも6つの異なるキチナ-ゼからなり、それらは4つの遺伝子にコ-ドされていると考えられる。これらのキチナ-ゼの一つであるキチナ-ゼDのアミノ酸配列を、他の細胞、放線菌、植物のキチナ-ゼ及びNーアセチルグルコサミニダ-ゼ、酵母のキラ-トキシン等の比較解析し、アミノ酸配列の類似性を検出した。その解析結果をJ.Bacteriol.に発表した。このキチナ-ゼやその関連蛋白質に見いだされたアミノ酸配列の類似性に基づき、キチナ-ゼの活性に関与するアミノ酸を予測した。予測されたアミノ酸を部位特異的変異により他のアミノ酸に変換し、キチナ-ゼ活性への影響を分析する実験を開始した。この実験によって、すでに活性に必須なアミノ酸のいくつかが明らかになり、その結果の投稿を準備中である。以上の研究には、平成3年度に購入した遺伝情報解析システムが大きな役割を果たした。 我々がキチナ-ゼA1の中に、原核生物の初めて発見したTypeIII配列は、その後他の酵素の中に次々に見いだされてきている。この配列の機能を明らかにするために、TypeIII配列に関する様々な変異をもったキチナ-ゼA1を満築し現在その性質の変化を解析中である。
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