本研究では酵母のプロトプラスト融合を、予め親株のプロトプラストを別々の方法で蛍光標識してから行なわせ、両方の標識を同時に持つプロトプラストを融合したものとしてセルソーターにより自動的に迅速かつ大量に選別する方法を実用化しようとしている(二重蛍光標識法)。 これまでにSaccharomyces diastaticusとSaccharomycopsis fibuligeraの異属間プロトプラスト融合をモデルとして本法を実施し、多数の融合株を取得している。本年度は融合株のいくつかについて培養特性、マーカー酵素α-およびグルコアミラーゼの活性の測定により融合の確認を行なった。また融合株の染色体を抽出し、パルスフィールド電気泳動を行ない、染色体の易動度の比較により染色体に変化が生じていることを明きらかにした。マーカー酵素遺伝子をプローブとするサザンハイブリダイゼーションの解析により明きらかに染色体に組換えが起こっていることを認めた。 融合株を継代培養により保存しているが、培養の様子やマーカー酵素の活性の強さに変化が起きており、安定なものは少ない。 上記のマーカー酵素の区別は多少困難であるので、今年度はS.diastaticusの代りにアルコール醗酵能の強いパン酵母を用いて同様に融合株を多数取得した。5回の操作で2株の、でんぷんをよく資化してアルコールを醗酵する融合株が得られた。プロトプラスト融合による融合株の取得を続行中であり、併せて上の2株の継代培養による保存と性質の解析を進めている。
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