研究概要 |
申請者らが発見した新規な微生物アスコルビン酸オキシダ-ゼ(酸性,中性)の診断薬への応用を最終目的に研究を進めた結果,本年度で以下の成果を挙げた。 1 酸性アスコルビン酸オキシダ-ゼ (1)反応機構の解析:Acremonium sp.HIー25株培養上清より酵素の多量精製を行い,精製酵素0.1gを得た。これを用いてアミノ酸分析,糖含有量,含まれる金属原子の同定定量などを行った。その結果,糖含量11.2%(W/W),金属原子として銅を3グラム原子/モル含む等の性質を明らかにした。また反応様式について調べた。その反応産物を単離し, ^<13>Cー, ^1HーNMR,IRスペクトル分析などによって解析した結果,デヒドロアスコルビン酸であると同定した。反応の化学量論的検討によってその反応が:Lーアスコルビン酸+1/2O_2→デヒドロアスコルビン酸+H_2Oであることを明確にし,植物酵素と同じ反応でアスコルビン酸を酸化することが分かった。(2)応用研究:本酵素を用いたアスコルビン酸定量について検討した。酵素反応に伴う溶存酸素の消費速度を酸素モニタ-で測定したところ,その速度とアスコルビン酸量との間に良好な直線性があることを確認した。(3)多量生産条件の検討:培養条件等について詳細に検討を行い,約1.5倍に生産量を高めることができた。 2.中性アスコルビン酸オキシダ-ゼ 生産菌株FUー22株の分類学上の位置について調べた結果,Streptomyces lavendulaeと同定した。酵素生産条件の検討を行い,最適系を設定することができた。平成4年度において,酵素の精製,諸性質等を明らかにしたい。
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