研究概要 |
川砂及び黒ボク土壌中における、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンの分解速度を調べると共に、栄養塩類、栄養物質さらに酸素等を添加することによる分解速度の促進効果について検討を加えた。 1,1,1-トリクロロエタンの分解では供試土壌に川砂を使用した場合、エタン添加により分解促進効果が認められた。しかし、黒ボク土壌では効果が認められなかった。トリクロロエチレンの分解では、エチレンを炭素源として使用した場合、川砂中において、顕著な分解の促進が確認された。黒ボク土壌中では、エチレンを添加することにより分解が阻害された。エチレン添加により拮抗阻害が生じたのではないかと考えられた。メタンを炭素源として使用した場合、川砂中においては、酸素を同時に添加した場合に僅かながら分解が促進された。以上のことから、土着菌の活性化に有効な炭素源や栄養物質、および環境条件を明かにすることにより効果的な浄化が可能であることが判明した。 また、トリクロロエチレン分解菌であるメタン資化性菌Methylocystis sp.M株及びメタン、リン、窒素、酸素等の添加による分解促進効果について検討を加えた。M株添加量を変化させて分解実験を行ったところ、OD=0.1となるように添加すると0.2ppmのトリクロロエチレンを一日で分解することが可能であった。トリクロロエチレン汚染濃度を変化させて実験を行ったところ、トリクロロエチレン汚染濃度1ppm以下であれば一日でほぼ完全に分解することが可能であった。メタン、酸素添加はトリクロロエチレン濃度が高いときに効果的であった。以上のことから、トリクロロエチレン汚染土壌の浄化にM株を活用する手法は、短期間で高い浄化効果が得られ、非常に有効な環境修復技術であることが明かとなった。
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