研究概要 |
食品素材の構成要素である蛋白質や糖類への高圧二酸化炭素の吸着現象を解明するため、まずアルブミンへの吸着量をピエゾ電気収着法を用いて測定した。1.実験方法の概略 電極面に試料を塗布した水晶振動子(ATカット、9MHz,電極5mm^φ)を電極付吸着セル(20mm^φ×30m^H)内の電極端子に取り付け、これを外部のMOS型IC(40H004)を用いた発振回路に組み込んだ。塗布した試料重量及び吸着量は、振動子への負荷の増加による発振周波数の降下(4F)をデジタル周波数カウンタで計測し求めた。振動子の銀電極は酸化防止のためパラジウム(Pd)のメッキをした。その時の電着量と4Fの関係から検出感度は約10^<-9>g/Hzであることを確認した。2.試料を塗布する前の水晶振動子の周波数特性 温度30,40,50,60℃,圧力0ー300Kg/cm^2における周波数(F)の変化を測定した。その結果、Fは臨界圧力(Pc)近傍で急増した後、垂直降下し、少し回復してから後(100ー300Kg/cm^2)は直線的に緩やかに増加した。各温度とも同じ傾向が見られ、Fの垂直降下位置は温度の上昇とともに高圧側へ移った。Fの垂直降下は、電極のPd中でCO_2が凝縮を起こし収着されたためと思われる。3.試料を塗布した振動子による吸着量の測定 アルブミンを塗布した振動子を用い、40℃,0ー300Kg/cm^2におけるFを測定した。その結果、Fははじめ圧力とともに緩やかに減少し、Pc近傍から減少が急になるが垂直降下はなく、100ー300Kg/cm^2では直線的に緩やかに増加した。これを吸着量に変換し、石英スプリングを用い重量法で測定した値と比較したところ、Pc近傍でCO_2の凝縮によるピ-クが見られないことと、CO_2が試料塗膜を通して電極面のPdに収着され吸着量が大きくなっていることがわかった。ピエゾ電気収着法による吸着量の測定は、重量法に比べ浮力補正の必要がなく簡便で極めて有効な方法である。収着を生じないと思われる金を電極にメッキし、各種試料について測定を行う。
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