研究概要 |
代表的な、5種類のタンパク質(カゼイン、ゼラチン、グルテンおよび卵アルブミン)および4種類の多糖類(ジャガイモおよびトウモロコシデンプン、デキストリンおよびセルロース)への超臨界二酸化炭素の吸着等温線を313,323および333K,0〜29.4MPaにて、石英スプリングと水晶振動子を用いて測定した。 石英スプリングで測定される表面過剰吸着量は、臨界圧近傍で鋭いピークを形成した後、約10MPa以上の高圧域ではほぼ一定となった。また、吸着量の大きさおよび圧力依存性は、タンパク質と多糖類でそれほど大きな違いはなかった。しかしながら、大豆タンパクおよびデキストリンでは、その構造によるヒステリシスが、また、比表面積が大きいセルロースでは、加圧初期に大きな吸着量を示すとともに、顕著なピークが見られないほどの相違があった。吸着量のピーク位置は、その温度におけるバルク密度の圧縮率最大の位置に相当することから、ガス凝縮によりものと思われた。 次に、水晶振動子マイクロバランス法により、3種類のタンパク質についての絶対吸着量を測定した。いずれの試料においても、吸着量は圧力増加とともに直線的に増加し、臨界点近傍で急激に増加した後、高圧域で緩やかに増加したが、ピークは見られなかった。同一条件における絶対吸着量と表面過剰吸着量の値を用いて、吸着層の密度を算出しグラフに示した。吸着層の密度は臨界点近傍でピークを示し、高圧域で緩やかに増加した。ピーク位置での吸着層密度の値は1.03kg/m^3となったが、この値はDubinin-Nikolaev の式からの推算値とほぼ等しかった。 臨界圧近傍において、吸着層密度の値がピークを示すことから、この圧力位置では気体分子のクラスター形成とそれに伴う凝縮およびその解消が生じているものと考えられる。今後、多糖類についても測定する。
|