研究概要 |
1.土壌植物病原菌の繁殖を抑制する抗菌性物質を生産する細菌を土壌中より分離して、Pseudomonas cepaciaとP.fluorescensであると同定した。 2.これらの細菌を用いて抗菌性物質(Altericidin類と命名)の生産条件を検討して、構造決定に必要とされるAltericidin類の試料量を確保した。 3.Altericidin類は互いに構造の類似したペプチド系抗生物質の複合体で、少なくとも5成分からなる。これらの各成分の分離精製条件について検討を加えて、加温条件での高速液体クロマトグラフ法により各成分が有効に分離されることを認めたので、現在各成分を純化中である。 4.純化した各成分の一部を用いて、構造研究を着手した。 5.一方、土壌伝搬性病害としてオオムギ葉枯れ病をとりあげ、その病原菌(Bipolaris sorokiniana)がオオムギの根および葉に褐変を誘起する2種の毒素A,Bを生産することを認めた。これらの毒素を単離して、オオムギその他の各種植物に対する生物試験の結果を日本植物病理学会関西支部会(平成3年10月・静岡)で発表した。 6.上記の毒素はある程度宿主特異的毒素としての条件を満たす。これらの毒素のうちAについて、さらに培養単離条件を検討して、構造決定に十分な試料量を確保して構造決定を行った。 7.その結果、Bipolaris sorokinianaが生産する毒素AはC_<14>H_<24>O_3の分子式を有し、種々の機器分析のデ-タから、1,7ーdimethylー8ーhydroxymethylー4ーisopropylbicyclo【3,2,1】octaneー6ーoneと推定した。その結果は日本農芸化学会1992年度大会(平成4年4月・東京)で発表する。
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