研究概要 |
緑茶の風味成分に関する研究:(方法)1)ポラパックQ50mlを充填したカラムに緑茶抽出液(煎茶50g+80℃熱水1000ml、3分間抽出)を流し、樹脂に吸着された風味成分をエ-テルで抽出した。本操作を20回繰り返し風味濃縮物約0.5gを得た。2)従来から汎用されてきた減圧連続蒸留ー抽出装置を用いて、香気濃縮物を得た。(結果)1)及び2)の方法で調製された濃縮物をGC及びGCーMS分析に供したところ、両者には顕著な違いが認められた。すなわち、いずれのガスクロマトグラム上にも150以上のピ-クが認められたが、1)の濃縮物は2)のものに較べてKovats Index 1200〜〜1800の化合物が少なく、1850以上の化合物は著しく多かった。このことは、1)の濃縮物が優れた緑茶様の風味を有したのに対し、2)は苦くて幾分焦げ臭い緑茶本来の風味とはまったく異なったことと一致した。Kovats Index 1850以上の緑茶の風味に不可欠と考えられる成分として、3ーethylー4ーmethylー1Hーpyrroleー2,5ーdione、5,6,7,7aーTetrahydroー4,4,7aーtrimethylー2(4H)ーbenzofuranone,2Hー1ーBenzopyranー2ーoneが同定・定量された。結果として92成分が同定され、45成分は緑茶から初めて検出されたものである。 醤油の特徴香ー塩辛い風味に関する研究:塩辛い風味成分は減圧蒸留法、液々抽出法では抽出されないが、カラム法では醤油に特徴的な優れた塩辛い風味が得られることが明かになった。醤油20リットルから得られたにおい濃縮物を順相および逆相TLCで分画すると共に、各画分のにおいを官能的に追跡した。その結果、単離が進と共に塩辛い風味が消失したことからこの風味は幾つかの成分の相乗効果により発現することが示唆された。事実、高沸点、極性成分の組合せにより塩辛い風味が生じることが明かとなった。現在、においの質に関して相互作用を起す2つの成分を単離し、その構造決定と官能的相乗作用について究明中である。
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