研究課題/領域番号 |
03660147
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 信 東京大学, 農学部, 助教授 (20164436)
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研究分担者 |
古井戸 宏通 国立森林総合研究所, 林業経営部, 研究員
井上 真 東京大学, 農学部・(林), 助手 (10232555)
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キーワード | 熱帯林資源調査 / 人口圧と熱帯林の減少 / 伝統的な焼畑農法 / 計量経済学的モデル / 用材需要 / 薪炭材需要 |
研究概要 |
当初利用を予定していたFAO/UNEPの1982年公表のデ-タに関して、FAO自身からその信頼性に関して否定的な評価が出され、現在1990年を調査時点とする新しい熱帯林資源調査が行われている。このような状況で1982年デ-タ用いた研究は殆ど意味をなさなくなってしまった。このため、本研究でも1992年に公表予定の新しい報告を用いて推計を行うこととし、本年度まず文献の検討から定性的な把握を行った。 人口圧と熱帯林の減少の連関に関しては、むしろ社会経済的な状況の変化の方がより重要な要因であると考えられた。熱帯林減少の最大の直接的要因とされる焼畑農業も、本来の伝統的な農法では充分な休閑期を持つなど環境に親和的である。しかし、新参の非伝統的焼細や、伝統的な焼畑が変質することによって熱帯林の破壊要因になる。非伝統的な焼畑農民は都市や農村から析出されるが、析出過程での人口圧の直接的な寄与は大きいものとは思われない。また、伝統的な焼畑農法の変質も人口圧によって直接的にもたらされるものではない。 また得られた統計資料を数理統計的に処理し、散布図として図示したり、また単純記述統計量を得るなどの加工を行い、得られた知見を基に簡単な計量経済学的モデルの構築を行った。ここにおいては用材生産、薪炭生産ともに供給側の要因よりも需要側の要因が強く働くと判断された。もっともこのことは、供給側の要因に関して統計資料の入手可能性に制約があり、供給側の要因の重要性を否定するわけではない。用材の需要に関しては国民所得が、また薪炭材需要に関しては人口が大きな要因であることが定量的に把握できた。
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