研究概要 |
1.目的と方法 本研究では,スギ造林地における雑草木群落とその動きについての実態を植栽密度(立木密度)との関連のなかで明らかにすることを研究のおもな目的とし,併せて群落の動きが育林保育及び林地管理上に及ぼす影響についての検討を行うものである。このため,房総南部の千葉演習林内の各所に設けたスギ密度別植栽地等を使用し,密度別植栽各区のスギ造林木の成長状態,林内構造,雑草木の組成及び構造並びに雑草木害等についての調査を実施した。 2.結果と今後の計画 (1)皆伐後のスギ幼齢造林地における6年間の調査結果では,通常の方法(植栽後4年目まで年1回刈り)を行った場合,植栽密度が異なると,林床植生の優占種の交替パタ-ン,種類及び生活型組成等の年次別変化に植栽密度別のちがいと特徴が明瞭にあらわれた。いっぽう,下刈りを全く行わずに放置して置いた林地では,林床植生に植栽密度別の群落的特徴があらわれなかった。下刈り管理を行ってきた林地では,スギの植栽密度が高いほど,林床植生の優占種の交替が速められ,下刈り期間が短縮化する傾向であった。 (2)16〜29年生閉鎖若齢林の林床植生は,種類数が極めて少なく,つる植物,ユリ科植物,シダ植物,ラン科植物などに属するごく限られた種類の植物がおもに生育していることがわかった。いっぽう,閉鎖若齢林の間伐を行うと,種類数において著しい増大が見られ,とくに落葉広葉樹及びつる植物等の木本性植物の侵入が目立った。 今後さらに現地(試験地等)での群落調査を継続し,既存の資料との比較・解析を行い,遷移の観点からの群落の状能診断を基礎にして,スギ造林地の雑草木群落とその動きの実態を調査,分析する。
|