本年度は、1992年度から1994年度までの野外調査結果の解析を行った。 1.現存量の推定:2年間の細根の現存量の季節変化の結果から、年平均の細根現存量、細根の生産の季節変化、細根の枯死の季節変化を明らかにした。ヒノキ細根の現存量は、明瞭な季節変化を示さないこと、年間での現存量の安定性が明らかとなった。 2.細根の枯死分解速度の測定:野外での細根の枯死、分解の速度をリタバック方法を用いて推定した。2年間の分解実験から分解速度は1年目に高く、分解に伴い低下することが明らかとなった。 3.細根の養分含有量の季節変化:細根の現存量測定結果と細根の養分分析から、細根の養分物質の現存量を測定した。養分物質として、窒素、リン、カリ、マグンシュム、カルシュムを測定した。 4.細根の分解にともなう養分量の変化:分解に伴っての細根の炭素、窒素、リン、カリ、マグネシュウム、カルシュムの現存量の変化を測定した。窒素では、窒素の不動化、動化時期が明らかにされた。 以上のこれまでの2年間の野外での細根現存量と養分分析の結果をもとにしてヒノキ人工林における細根動態にともなっての養分物質、有機物、炭素の動態を解析し、報告書として総括した。
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