本研究の目的は多様な森林の条件や利用目的に応じた道路網の整備水準を明らかにするとともにその具体的計画を樹立する支援システムを構築することであった。3年間にわたる研究の結果、流域単位での基盤整備計画支援のためのシステム化が一応完成した。その主な内容は、数値地形図の作成とその利用、骨格路網と細部路網の計画、対話式の路網計画と集材計画、エキスパートシステムを利用した基盤整備のコンサルタントである。数値地図の作成と利用は基盤整備計画だけでなく森林の経営管理システムにおいても重要である。地形や道路・区画などの情報を数値化し基礎データとした。また、等高線データとメッシュデータを系統的にファイル化し、汎用性を持たせ基盤整備計画等に簡単利用できるよう工夫した。骨格路網などの路網計画は山岳林における高性能機械による集材を前提とした路網整備計画法である。地域間、主要地点間の骨格路網とそれを補完する細部路網計画からなる。細部路網は林分情報と地形データを用いた集材の可否や到達の可否を考慮し計画する点に特徴がある。さらに、対話式の計画支援システムは、既に準備されている数値地形ファイルから、基盤整備対象区域のデータを切り出し、グラフィック画面を参照しながら対話的に路網計画等をおこなうシステムである。図上で計画する如く、計画者の意図をグラフィック画面をつうじ計画に活かしていく点に特徴がある。また基盤整備の水準や開設費の補助体系の理解を促すためにエキスパートシステムよるコンサルタントシステムを整備した。森林の状態にあった整備水準が提示されていることに特徴がある。今後は多くの地域を対象に本システムの適用し、その問題点の改善をおこなっていきたい。
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