研究概要 |
平成3年度においてこの研究調査は(1)既存収集資料の整理(2)文献資料の収集(3)新資料の発掘について実施した。 (1)及び(2)では資料の整理と所在を明らかにし,主要な資料は可能な限りゼロX,写眞等による複写をおこない,既存統計資料による木材生産と流通加工のマクロなデ-タベ-スの作成,市場取引の現場デ-タによるミクロなデ-タ収集も実施した。また,鳥取地方法務局の本支局出張所(12カ所)から商業登記法の閲覽によって林業界の森林組合(明治40年,昭和14年の森林法による)の設立,解散,改組を明らかにした。さらに木材業界の各種団体及び組合制度(昭和20年以前の木材統制会社,20年以降の林産組合,木材協同組合等)について全部謄本を入手した。戦後の県公報による木材業・製材業の登録者数の年度別推移と整理,各協同組合の構成事業体を調査し,各経済主体の推移と関連性について各地域の古老,県職院O.B.などから聞取り調査をおこなった。(3)の資料では鳥取県内の営林署及び営林局から官林の成立過程と整備,施設の変遷について調査し,官林の下げ戻し,払い下げ箇所の調査をおこない,また,既刊の文献(鳥取県山林会報及び鳥取県林業会関係の公文書等)の入手,大規模山林所有者S家の明治中期からの造林台帳,N町有林管理記録,江戸末期庄屋のT家からの萬(よろず)帳などの新資料の発掘があった。 これらの資料と平成4年度追加調査資料によって,「森と木をめぐる歴史」と題して明治期以前から現代までの鳥取県林業・木材業の史的経過を分担執筆によって明らかにし,地域の林業・木材業振興に対する將来方向の施策を検討する予定である。
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