研究課題/領域番号 |
03660159
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
薛 孝夫 九州大学, 農学部・附属演習林, 助教授 (70117141)
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研究分担者 |
矢幡 久 九州大学, 農学部, 助教授 (90038290)
汰木 達郎 九州大学, 農学部・附属演習林, 教授 (00038332)
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キーワード | 都市林 / 都市緑地 / 都市近郊林 / 林分構造 / 管理経歴 / 緑地保全地区 / 保存樹 |
研究概要 |
文献調査および聞取り調査として、九州北部の大都市、福岡市と北九洲市で緑地保全地区および保存樹木の指定状況と管理体制についての行政資料を収集し、福岡市で保存樹を含む30の社寺林を対象に管理費の使途など管理の実態や周辺住民の意識を調べるアンケ-ト調査を実施した。また都市緑地の現況を立地環境との関連で分析するモデルケ-スとして、上記の緑地保全地区13林分、および佐賀市や久留米市の都市近郊林など20林分で、林分構造調査や土壌調査を実施した。一方で樹木の健全度の検定方法の検討も継続中である。 都市内樹林地は一般的には好ましいものと評価されるが、樹林地に隣接して生活する住民は、日照、落葉落枝、風紀上の不安などの諸問題を訴えており、特に自治体が土地を取得した後の緑地保全地区などについては、周辺の立地や樹林の質に応じた適切な管理マニュアルが緊急に必要であることを、調査を通して痛感した。調査途中ではあるが、福岡市をケ-スとして都市緑地をめぐる諸問題について概論的にまとめたものと樹林管理者へのアンケ-ト調査の結果について、および葉温についての実験結果を日本林学会九州支部会に報告した。 当初は、造成直後で育成途中にある樹林をも調査対象に含める予定であったが、行政の現場では、既存林やすでに目標林形に達して維持管理の段階にある樹林について、より多くの課題を抱えていることが分ったので、現在までの調査は緑地保全地区や保存林地区およびレクリエ-ション利用に供される都市近郊林などを主な対象としている。樹林の管理について、管理水準と林形との関係についての解析をもとにして効率的な林相誘導技術を提案することが目標ではあるが、現実には、周辺の環境の質に応じた樹林の機能分担についての検討すら行なわれていないのが実情なので、基本的な考え方や法制度上の提案にも立入った取りまとめをしていく予定である。
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