研究課題/領域番号 |
03660159
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
薛 孝夫 九州大学, 農学部附属演習林, 助教授 (70117141)
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研究分担者 |
矢幡 久 九州大学, 農学部, 助教授 (90038290)
汰木 達郎 九州大学, 農学部附属演習林, 教授 (00038332)
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キーワード | 都市林 / 都市緑地 / 都市近郊林 / 保存樹 / 緑地保全地区 |
研究概要 |
本年度は、人工的に作られた樹林の林分構造と樹種ごとの樹勢の変化を調べるための現地調査を実施する一方、都市林の最小単位としての保存樹に着目して、その管理の実態や周辺への影響を知るための現地調査とアンケート調査を実施した。 植栽時期の明らかな自然的樹木群の例として、植栽後30年から40年を経過した北九州市内の緑地で、約50種2000本の樹木の位置、規格および現在の活力度を測定した。クスノキ、カシ類などを植栽した林分では、30年で充分に自然林性の高い林分となっている。オオバヤシヤブシ、ニセアカシアなど初期成長の良い落葉広葉樹では幹折れや風倒などで樹形の乱れたものが多い。集計が完全に終っていないが、今後の追加調査により、樹種や植栽密度と自然的な樹林への誘導効率との関係をつかむことができそうである。 また福岡市内で単木的に存在する保存樹を対象として、所有者の考え方や管理の実態を聞取るアンケート調査および、周辺住民の保存樹への接しかたや評価を知るためのアンケート調査を実施した。都市内に存在する大木に対する市民の関心や評価は多様であり、対象樹木の樹種や樹木から住居までの距離によってその傾向が異なっている。多くの市民が都市に緑を残すことは必要と感じているが、樹林や大木に隣接して住む者は日照や落葉の害のほか、台風時の倒木や枝の落下を恐れている。都市内の大木には衰弱しているものが多いので、衰弱木への対策や、保存樹としての価値にどこで見切りをつけるか等、管理上の問題で検討すべき点が多い。 保存樹に関する調査結果の一部および都市緑地への利用者からの要望をつかむための調査の結果について、日本林学会九州支部大会において発表した。
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