研究概要 |
研究代表者と研究分担者は相互に密接な連携を保ちながら、研究計画に基づき二年間の研究を遂行した。その結果の概要は次の通りである。1.沖縄県内に産するマングローブ林の主要構成樹種の中でヒルギ科のメヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギを主たる研究材料としたが、合わせてシクンシ科のヒルギダマシ、マヤブシキ科のマヤプシキ、アオイ科のオオハマボウも研究材料として用いた。2.研究材料とした6樹種はいずれも熱帯地域に広汎に分布するマングローブ構成樹種とした。3.組織培養に用いた主要な器官は胎生種子であるが、胎生種子を形成しないヒルギダマシでは半胎生種子を、マヤプシキとオオハマボウでは種子を実験材料とした。4.胎生種子を材料とした滅菌方法が確立され、エタノールと次亜塩素酸ナトリウムの滅菌を併用することにより、コンタミ率が抑制された。5.カルスの誘導に用いた植物ホルモンは、サイトカイニンとしてカイネチン、オーキシンとして2,4-Dとしたが、カイネチンは必ずしも必要ではなく、2,4-Dのみでもカルスが誘導可能であり、このことはこれまでにマングローブ構成樹種の組織培養では報告されていない新しい知見であった。 6.胎生種子を用いた実験では、培地に前述の植物ホルモンを添加することによって、胎生種子の生育段階の違いによるカルス形成率に大きな差異がないことが明かにされた。7.オオハマボウでは種子より無菌苗が育成され、その無菌苗を用いて胚軸および葉からのカルスの誘導が可能であった。8.胎生種子を材料としたカルスの継代培養はカルス形成後速やかに行われるこのが望ましく、継代が遅れると形成されたカルスは硬化し、継代後の継代培地での培養が困難であった。
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