表面汚染菌類によるパ-ティクルボ-ドの劣化機構を明らかにすべく、またパ-ティクルボ-ド保存の技術向上を図るべく実験を実施した。 実験には種々表面汚染菌類、市販および実験室にて製造したボ-ドを用いた。これらボ-ドの表面汚染菌類への暴露前後における状態を顕微鏡観察するとともに、質量、曲げ強度、剥離強度を測定した。また、比重や含脂率を変えてボ-ドを製造し、表面汚染菌類への抵抗性を調べた。そして各種防腐防黴薬剤を接着剤へ混入した後ボ-ドを製造したり、ボ-ド製造後薬剤を塗布・注入処理し、表面汚染菌類に対する効果を調べた。さらに、原料チップをアセチル化したり、エ-テル化した後、ボ-ドを製造し、抗菌性を調べた。 用いた表面汚染菌類の全てはボ-ドの表層部で胞子を発芽させ菌糸を生じた。ボ-ドには菌類の攻撃により相当な強度減少が生じた。質量減少率測定結果や顕微鏡観察によると供試菌類はいずれも原料木材に分解を生じていないことから、強度低下は木材と接着剤の接点で生じたか、接着剤に生じたかのどちらかであろう。 比重等物性を変えてボ-ドを作製し、表面汚染菌類に暴露し剥離強度を調べると、比重を大きくしてもさほどに強度低下を防げなかった。樹脂率を高めると若干強度低下を防げた。また、ボ-ド製造時に防カビ剤を接着剤に混入すると強度低下を防ぐことが出来た。エ-テル化やアセチル化処理は、表面汚染菌類の攻撃に対して効果に乏しいことを示した。
|