研究概要 |
本年度の研究概要は次の通りである。 1)縮合型タンニンの構造解析(I) 核交換法によって、縮合型タンニンの構成フェノ-ル核を高分子区分を含めて精度良く定量するための諸条件について検討した。その結果、フェノ-ル媒体、キシレン(希釈剤)および三フッ化ホウ素・フェノ-ル錯体の配合容量比を19:10:4の分解試薬を用い、60℃と130℃の条件でAー核,Bー核から最大の構成核が遊離することを見出した。さらに,単量体および二量体モデルでの構成核遊離量から、本条件で得られたデ-タによって、フラバノ-ル・ポリマ-のフェノ-ル・パタ-ンが精度良く推定しうることを明らかにした。 2)モデルおよびタンニン・オリゴマ-によるフェノ-ル化(I) 縮合型タンニンのフェノ-ル化機構を明らかにする目的で、カテキンの三フッ化ホウ素触媒下での反応追跡の結果、構成核遊離前の主要なフェノ-ル化変性化合物数種の構造を決定すると共に、各成分の経時的変化を定量した。これらの検討によって、反応初期においては複素環エ-テル結合の切断と媒体フェノ-ルの置換によって、屈曲性と反応性に富む三核体が生成し、さらに分子内転位反応で数種の三核体の他種誘導体に変性されることなどの知見を得た。本試験項目は、未確認成分の構造決定と反応機構解明のために研究を続行する予定である。 3)縮合型タンニンの化学修飾(I) 本試験は、タンニンの軽度の分子量低下および分子の屈曲性向上を目的としたフェノ-ル化変性のための適正条件を見出すことにある。ワットルの溶媒分別試料、プロトン酸触媒およびレゾルシノ-ル媒体によるフェノ-ル化について検討し、少量の構成核は遊離するが媒体も消費されており、フェノ-ル化の方向で変性されることを認めた。
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