研究課題/領域番号 |
03660172
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 稔 京都大学, 農学部, 助教授 (60026599)
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研究分担者 |
佐伯 浩 京都大学, 農学部, 教授 (40026498)
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キーワード | 木材の樹種識別 / フ-リエ変換画像処理 / パワ-スペクトル / 樹種の特徴抽出 / 自己相関関数 / 光学的フ-リエ変換 / 形態要素 / 高速フ-リエ変換 |
研究概要 |
木材の樹種識別は、木材の適正な利用に欠かせないものであるが、これまでは顕微鏡および木材形態に詳しい熟練者の経験的判断に頼ってきた。この過程を、画像処理法の開発、とくにフ-リエ変換画像処理法の開発により、木材構成細胞の横断面形態の特徴抽出と数量化を目指した。具体的には、まず針葉樹の木口切片に現われる仮道管の断面形態を、その寸法、形状、配列、細胞壁厚さ、の4種の形態要素に分解し、これらを2次元高速フ-リエ変換法(FFT)にかけて、パワ-スペクトルパタ-ンを誘導した。しかしパワ-スペクトルパタ-ンのままでは、形態要素の基本となる距離の情報が、逆数の周波数で表現され、その方位も法線表現されるので、形態要素の特徴を理解しずらい欠点があった。そこでパワ-スペクトルパタ-ンを再度フ-リエ変換処理して、自己相関関数のパタ-ンに誘導する手法を導入した。そこでは形態要素が元の距離と方位の関数で表現される利点があり、樹種の視覚的な特徴抽出が非常に容易になった。つぎに、統計学的な数量評価を可能とし、かつ解析の速度を短縮するため、千個以上の非常に多数の仮道管を一度に解析できるようにした。とくにレ-ザ-光束による光学的フ-リエ変換法により、百万個以上もの仮道管を処理できることに成功した。そしてパワ-スペクトルパタ-ンを極座標変換する手法を開発した。この方法により、針葉樹仮道管の横断面形態を頻度分布として数量表現することが可能となった。また同様の手法を広葉樹の繊維断面に適用し、その寸法と配列の数量表現に成功した。そして針葉樹7種、広葉樹10樹種間で、これら形態要素の最頻値と分散について樹種的特徴が明瞭に検出できた。これらの数値を使用すると、木材の樹種識別を自動化できる目途が得られた。またこの様なフ-リエ変換画像処理法は、パ-ティクルボ-ド等の配向解析にも活用できることが明かになった。
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