兵庫県一宮町の4戸のシイタケ生産者から借り受けた2年ほだ木(品種 514号、コナラ)の内樹皮および辺材から採取した試料について、低分子の糖、アミノ酸ならびにグルコサミン含量を求めた。 これらの化学的な分析値と、前年に求めたほだ木の物理的な特性ならびに子実体発生量の全データについて単相関分析をおこなった。正常子実体の発生量(生重量)は辺材の容積密度と負の相関を示し、辺材の空隙率、アミノ酸含量およびグルコサミン含量とはそれぞれ正の相関を示した。一方、奇形子実体の発生量は辺材の容積密度とは負の相関、外樹皮厚とは正の相関があった。 重回帰分析を行ったところ、正常子実体の発生量は、辺材の容積密度が小さく、辺材のアミノ酸含量が多いほど多くなる関係式が得られた。また、奇形子実体の発生数は辺材の容積密度が小さく、内樹皮厚および外樹皮厚が大きいほど多い傾向にあることを認めた。 平成4年春から全国5カ所(岩手、和歌山、奈良、兵庫および鳥取)で育成開始したほだ木(610号、115号)を11月に各品種それぞれ5本ずつ(合計50本)回収した。各ほだ木の所定の位置(2ケ所)から内樹皮および辺材試料をそれぞれ採取し、容積密度ならびにグルコサミン含量などを測定した。辺材の容積密度ならびにグルコサミン含量は、ほだ木間でバラツキがみられたが、岩手県区のグルコサミン含量が他区に比べて相対的に低い傾向が認められた。
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