養殖業は全般に過剰供給が支配し、価格低迷による経営悪化に伸吟している。ギンザケ・カキ・クルマエビ等においては輸入が増加し、国内生産のみでは説明できない。消費者ニ-ズが多様化し、チルド化・安全性・簡便性が、最近の傾向としてとくに求められているが、輸入品と差別化できる養殖生産に期待することろが大きい。本年は養殖魚のうち、輸入との競合が最も激しいギンザケならびに、長らく魚類養殖の中心にあるハマチを主な検討対象とした。 1979年のハマチ価格崩落以降、ハマチ養殖経営は減少し続けている。しかし生産量はごく最近までジリジリと増え続けた。ハマチの越年出荷が主流となり、単年度養殖から多年度養殖へ移行した。価格低迷は生産量の縮小に結びつかず、新市場開拓による2・3年魚販売へ経営戦略を転換したのである。活魚市場が西日本から全国に波及し、さらに産地においてフィ-レ加工が試みられている。 しかしながらハマチは運動量が多く大きめの活魚槽を必要とし、また一尾からの調理分量が7〜8人前と多すぎ、タイ類ほどの需要は見込めない。フィ-レ=切り身加工に多くを期待するわけにはいくまい。過密養殖による漁場の自家汚染あるいは成長速度の低下といった。生産面の因難は別としても、全般的な需給調整が不可欠の課題であろう。 韓国産の稚苗の輸入がハマチ養殖に一時間題を投げかけたが、輸入禁止によりひとまず落着した。輸入の動向がきわめて大きな影響を持っている養殖魚はギンザケである。飼育技術は確立されたが、放流シロザケの回帰に加え、ノルウェ-・チリ・カナダ・アラスカ等が日本市場をタ-ゲットに積極的な進出を図っている。1991年価格暴落の見舞われたが、サケは国際的需給関係の中で動いており、年間総供給量50万トンは多すぎ、生産・在庫調整に取り組む必要がある。
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