研究課題/領域番号 |
03660193
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
室賀 清邦 広島大学, 生物生産学部, 教授 (30011993)
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研究分担者 |
西澤 豊彦 広島大学, 生物生産学部, 助手 (10222184)
中井 敏博 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (60164117)
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キーワード | 幼生期の病気 / ウイルス病 / ヘルペスウイルス / ノダウイルス / ヒラメ / シマアジ / キジハタ |
研究概要 |
海産仔稚魚に発生する新しいウイルス病として,ヒラメ仔魚のウイルス性表皮増生症(VEH)とシマアジ・キジハタ仔稚魚のウイルス性神経壊死症(VNN)について研究した。 VEH原因ウイルス(ヘルペスウイルス)の分離を既存の魚類由来細胞系のほか、我々が作ったヒラメ表皮由来細胞を用いて試みたが、すべて失敗に終わった。そこで、病仔魚から超遠心により純化したウイルス粒子に対する抗血清を物製し、それを用いて蛍光抗体法による本病の診断が可能であることを確かめた。 VNNの原因ウイルス(ピコルナウイルス様)の分離を数種の魚類由来細胞を用いて試みたが、成功しなかった。シマアジ病魚より純化したウイルス粒子を用いて、核酸構造について検討したところ、2分子のプラスセンスの単鎖のRNAからなることがわかり、粒子の形状(25nm)をも考慮し、ノダウイルス科(Nodaviridae)に分類した。なお、このノダウイルスはこれまでに昆虫からのみ報告されており、魚類病原ウイルスとしては今回が最初の確認例ということになる。 また本ウイルス(SJNNV)に対するウサギ抗血清を用いたELISA(酵素結合抗体法)により、病仔魚のみならず親魚の卵巣からもウイルス抗原が検出され、本病は垂直感染により伝播することが明らかになった。 なお、同じ抗血清を用いた蛍光抗体法をVNN罹病キジハタ稚魚に試したところ、陽性反応が得られ、これら両魚種にみられるVNNの原因ウイルスは同一種である可能性が示唆された。 来年度はVNNの予防に関する基礎的事項を中心に研究を進める予定である。
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