研究課題/領域番号 |
03660195
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
西島 敏隆 高知大学, 農学部, 教授 (60036738)
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研究分担者 |
深見 公雄 高知大学, 農学部, 助教授 (30181241)
三好 英夫 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (50036711)
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キーワード | 汚損生物 / 付着忌避 / 忌避物質 / ウズマキゴカイ / 細菌 |
研究概要 |
汚損生物の付着に対して、忌避効果を発揮する微生物を得るために、まず、付着性の細菌類を純粋分離し、忌避効果を与える菌株のスクリ-ニング、及びこれらに必要な忌避効果を試験する方法の確立をめざした。 海水中にガラスおよびテフロン基盤を浸漬して、これから付着性の細菌をそれぞれ20株純粋分離した。さらに、蓄養されていたマコンブの葉体表面から付着性細菌を18株分離した。 付着忌避効果を試験する付着生物として、暖海域で普通に見られるホヤの一種、ユウレイボヤ及び管棲多毛類の一種、ウズマキゴカイを用いた。ユウレイボヤでは受精後1日程度で、幼生の基盤への着生が見られ、受精から幼生着生までを人為的にコントロ-ル出来る点で優れた試験材料であることがわかった。ウズマキゴカイでは卵は受精後も幼生となるまで育児嚢中で保育され、幼生の放出を実験室条件下でコントロ-ルすることは困難であるものの、一旦付着した幼生は数時間後には棲管を分泌するので、計数が容易であることがわかった。 分離した細菌株について、殆ど一年に亘って採取可能なウズマキゴカイを試験生物として、付着忌避試験を行った。その結果、本種幼生は疎水性のテフロン基盤より、親水性のガラス基盤を好んで着生する傾向が見られ、試験した細菌株のうち、テフロン基盤分離菌から4株、ガラス基盤分離菌から1株、それぞれ幼生付着忌避効果を与える菌株が得られたが、コンブ表面分離菌はいずれも忌避効果を発揮しなかった。 次に、これら分離した菌株を用いて細菌被膜を作成し、被膜への藻類の付着・増殖量を試験した結果、12菌株が明らかに藻類の付着・増殖を阻害した。これら阻害効果を与えた菌株は、ウズマキゴカイに忌避効果を与えた菌株とは異なり、これら忌避及び阻害効果には、異なる機構あるいは物質が関与しているものと推察された。
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