研究概要 |
本研究の実験は1992年5月より1993年1月まで,清水校舎研究室内で行なわれた。主な実験項目として,(1)海水馴化クロレラ(高温株,中温株)の冬眠化(休眠化)実験,(2)濃縮海水馴化クロレラ高温株の常圧乾燥保存実験,(3)保存海水馴化クロレラ高温株によるコペポウダ高密度培養の試みから餌料として利用効果の確認,(4)高温耐性クロレラ株の採集と培養を行った。主な結果は次の如くである。 1)2℃,4℃,6℃,8℃の階温別に高温株,中温株を用いての休眠化実験から前年度行った0℃,5℃の実験結果を追認する結果を得た。すなわち,高温株に対して最適休眠化温度は5℃,中温株に対しては0℃が良い結果を示すことがわかった。 2)高温株の乾燥保存実験から5℃で休眠化処理をほどこし,5℃で低温保存したものは塩分濃度50%,35%,70%で1ケ月の保存後,復元培養において,休眠化処理をしたものが,しないものよりも細胞数から見て増殖状態が良く,1ケ月以上の保存の可能性があることを示した。特に塩分50%,70%の高塩に海水馴化させたクロレラが乾燥粉末化して生体保存させられることは特筆されよう。 3)短期間ではあるが,液状保存した高温株を利用し,コペポウダの培養実験を行ない,高密度培養(5・6尾/ml)に成果を見,保存クロレラの利用価値を認めた。 4)実験の合間に乾燥保存に更に有効な高温耐性の高温株を求めて,採集調査を行ない,50℃附近に耐性のあると見られるクロレラ株を下田温泉源から採集出来た。その他は60℃辺に耐性を有すると見られる藍藻株でともに研究室にて培養保存中である 5)2年度にわたる実験データをとりまとめ,研究報告書として刊行すべく印刷中である。
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