研究概要 |
アカトゲトサカより水溶性,脂溶性およびブタノ-ル可溶性画分を調製した。水溶性画分については限外3過による分子量1万以下,1〜5万および5万以上に分画した。これらの成分について喘息患者の皮下投与あるいは摘出モルモット回腸切片を用いて活性を調べた。 水溶性画分においては分子量1万以上の画分が皮内反応で強い陽性を示したが,1万以下の画分は陰性であった。またウミトサカ抗原に特異的なIgG抗体およびそのサブユニットIgG4抗体に対しても分子量1万以上の画分では患者血清で両抗体に良好な希釈曲線が得られ,健常者と明確な有異差が認められたが,1万以下の画分では特異的両抗体に対して陰性であった。このことから遅延型喘息反応には高分子領域のアレルゲンが関与していることが明らかになった。そこで1万以上の画分をセファアクリルSー300カラムクロマトグラフィ-で分画,各画分についてIgEに対するEL12Aおよび患者に対する皮内反応でアレルゲンを追跡した。その結果,分子量50万以上(DNー1)と10万付近に溶出する成分(DNー2)にとくに強い反応が認められた。これらの成分について再クロマトグラフィ-を行ったのち,それぞれMonoーQカラムによるイオン交換カラムクロマトグラフィ-で精製,DNー1については2成分,DNー2については4成分を得た。現在これらの成分についてアレルゲン活性を分析中である。 モルモット回腸による試験結果では,水溶性の1万以下の画分にアセチルユリンのアゴニスト活性が確認された。この作用はアトロピンで抑制を受けない。また,ブタノ-ル画分と脂溶性画分にはアセチルコリンアゴニスト活性が認められたが,アトロピンで抑制されるのでコリナジックな作用をもつものと思われる。これらの成分がアカトゲトサカ喘息患者に皮内即時反応を引き起こすか否か今後検討する予定である。
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