研究課題/領域番号 |
03660225
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷口 信和 東京大学, 農学部, 助教授 (80163632)
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研究分担者 |
坪井 伸広 農業研究センター, 経営管理部, 室長
今村 奈良屋 東京大学, 農学部, 教授 (60020525)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 高度産業社会 / 家族農業経営 / 経営継承システム / 家族協業 / 日本農業 / 農業経営体 |
研究概要 |
家族経営が高度産業社会に適合しにくいのは、組織が持つ次の特徴を発揮できない点に原因が求められる。(1)技術革新をリードする組織、(2)分業による専門化と多様化を実現する組織、(3)より高い労働生活の質を保証する組織、(4)制度によって優遇される組織、(5)高い帰属意識の対象となる組織。 むろん、農工間に利潤あるいは所得実現格差があることを認めないわけにはいかない。しかし、農業の不振をそれだけに求めることは避けるべきである。家族経営が高度産業社会に適合しにくいといっても、現に活発な活動を展開している家族経営が存在する。かれらは不適合のハンディを乗り越えるだけの能力を持つものであるか、家族単位の事業活動にコンサマトリーな価値をみいだしているものである。そのかぎりで家族経営は否定されることがあってはならないし、会社経営と対等な競争力を確保するための措置も必要であると考えられる。 だが、そうした家族経営が残るとしても、それは「担い手」として位置づけられるものではないであろう。普通の意欲と能力の持ち主である一般人が、いつでも就業対象として選択できる農業であることが、農業を産業として位置づけることであると考えるからである。そうでなければ、農業は特異な能力の保有者のみが実践する、特異な事業ということになろう。 農業を産業として位置づける以上、家族経営だけではなく会社経営をも含めた多様な企業の参入を容認していかなければならないであろう。ただし、そのためには、将来の農業経営体と経営システム、家族経営の将来、農業経営の規模と競争力、農業経営継承のシステム、会社参入の是非などの課題が、検討されなければならない。
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